悪化してからいつでも遡(さかのぼ)れるの?2

 暑さに閉口しながら、「夏の続きはいつまで?」と感じた9月もあっという間に過ぎました。

 後半、セミナー講師の仕事をいくつかしました。「これ、聞いていただきたい!」と思う事例をほぼ話し尽くすことができ、反応も良かったことで、楽しめました。

 

 前回の記事で、説明が足りないことに気づいたので、続きを。

 

 障害年金を過去に遡って受けられるのは、「障害認定日」に障害状態であったことが診断書で証明できる場合に限る、と書きました。

 さらに条件があります。「障害認定日」から請求日まで、障害状態であることも必要になります。

 

 病歴が15年以上に渡るBさんのお話です。Bさんの病気は、障害認定日の前後、とても重い状態でした。仕事もできなくなったため、退職して療養に専念していました。

 発症から3年ほど経つと回復、転職活動を経て再就職し、以前のように働けるようになりました。しかし、3年勤めたのち、再び病気が再発して休職、1年後に退職することとなったのです。その後も、転職し2~3年で退職することを繰り返しました。

 現在は、何度目かの療養期間であり、障害年金の請求を考えています。

 

 Bさんのように病歴が長いと、発症時から現在までに回復していた期間を挟むことがあります。厚生年金に加入し、フルタイムで働ける状態が数年間ある場合は、遡りが認められる可能性はかなり低くなります。というのも、そもそも障害年金は、審査時点で障害の状態が続くと見込まれる人に支給されるものだからです。Bさんは、途中で継続して2~3年間、フルタイム勤務できる期間を複数回過ごしているため、障害状態の期間は継続せず細切れです。

 

 Bさんのその後。障害認定日のカルテも残っていたため、診断書を作成してもらいました。当時の病状を記した診断書は、2級程度の内容でした。ところが、年金機構の審査では、障害認定日後の就労状況もみられました。総合的に審査された結果、請求日時点は2級で決定しましたが、障害認定日については不支給となり、遡ることはできませんでした。

 

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